本研究は,今まで研究対象としてほとんど取り上げられてこなかった児童における空の水平方向の形状認知の類型化を試みるものである.そのため本研究では,(1)空の水平方向の形状認知の記述を試みるため,その調査方法を考案する,(2)調査結果に基づき,児童の形状認知をクラスター分析によって類型化する,(3)学習者の形状認知の類型結果から,教科教育における空の概念の取扱いについて考察する,(4)本調査方法について批判的検討を加える,ことを目的とする.本研究で得られた知見は,次のとおりである.(1)児童には多様な空の形状認知が存在しており,これらの形状認知はクラスター分析によって7類型(類型A〜G)に分類できる.(2)天文教育における天球概念に代表されるような球面として空を認知している者は,小学校第5学年児童のわずか5%にしか満たない.(3)各教科領域で扱われている空の概念の多義性について,教育していく必要性がある.(4)本調査方法には測定誤差等の問題点があり,今後さらに改善していく必要がある.