日本教育工学雑誌
Online ISSN : 2432-6038
Print ISSN : 0385-5236
大学生の達成目標と授業評価,学業遂行の関連
田中 あゆみ藤田 哲也
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2004 年 27 巻 4 号 p. 397-403

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抄録

本研究は,達成目標が学習における認知や感情,行動に及ぼす影響を検討するために,近年多くの大学で導入されている学生による授業評価をとりあげ,学業遂行を含めた相互の関連を調べることを目的とした.ELLIOT and CHURCH(1997)に基づき,マスタリー,パフオーマンス接近,パフォーマンス回避という3つの達成目標が扱われた.分析の対象となったのは,教育心理の講義を受講する女子大学生108名である.初回の講義で測定した講義に対する達成目標が,前期の全体的な授業評価を予測し,達成目標および授業評価が期末試験の学業遂行を予測するという仮説モデルを構造方程式モデリングによって検討した.その結果,達成目標の違いによって,授業評価の仕方や学業遂行が異なることが明らかになった.また,授業自体の評価が受講態度の自己評価および学業遂行に影響するという関連性も見いだされた.

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© 2004 日本教育工学会
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