順天堂醫事雑誌
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都民公開講座:腸と健康
排便と健康
浦尾 正彦
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2014 年 60 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

便秘とは,排便の頻度が週2回以下で,便が硬く,排便困難,残便感がある状態といわれている.実際には放置されていたり自己流の対処をされていることが多い.が,便秘患者では労働生産性が障害されたり,肛門疾患や結腸癌などの様々なリスクも増加することが知られており,しっかり取り組むべき疾患である.
慢性便秘は,症候性,薬剤性,器質性,機能性便秘などに分類される.症候性便秘は神経疾患,内分泌疾患の症状の一部としてみられるもの,薬剤性便秘は薬剤によって誘発されるもので薬剤の中止変更で改善する.器質性便秘は結腸などの器質的変化によるもので時として手術を必要とする.特に排便時出血,50歳以上,大腸癌の家族歴,急激な体重減少がある場合は専門医に相談する必要がある.
ほとんどの慢性便秘は機能性便秘であり,生活習慣の改善でコントロールできることが多い.すなわち,①睡眠を十分にとる,②1日の生活リズムを整える,③朝食を食べる,④軽い運動を行う.また腸内環境を整えるために,⑤食物繊維を摂る,⑥1日2l の水分摂取,⑦ヨーグルトや整腸剤を摂取する.またスムーズな排便のために,⑧排便マッサージ,⑨排便姿勢の調整,⑩リラックスできる環境づくりなどがあげられる.機能性便秘を放置することで,さらにひどい便秘となり手術を要する疾患に発展することもあるので,重症化を予防するための日々の努力が重要である.

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