音楽医療研究
Online ISSN : 1883-2547
ISSN-L : 1883-2547
特別講演
重症児者と音楽療法
富和 清隆鈴木 かおる
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キーワード: 重症児者
ジャーナル 認証あり

2019 年 12 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

重い運動障害と知的障害を合併する小児を重症心身障害児(重症児)と言い、呼吸器や経管栄養など医療的ケアを日 常的に必要とする児は超重症児と呼ばれる。医学的には様々な病因による病態が含まれるが、支援の上では共通する合併症、課題が多い。コミュニケーションや情動コントロールの障害はその代表である。音楽はコミュニケーションや情動の安定を促すもっとも有力な手立てである。他者や物への気づき、そして能動的な動きや表現を引き出す契機となり、探索行動や要求行動といった能動的に外界へ働きかける力を高める。最終的には、呼吸機能など自律神経系の安定や、運動機能や覚醒レベルの向上をもたらす。 講演では、当院で行っている個別音楽療法セッションをVTR で紹介し、重症児者に対する効果的な音・音楽の使い方、それらに対する反応の観察・評価方法や音楽を介したセラピストとのやりとりを提示する。重症児者がどのように音楽を感じ、受け止め、セラピストとの関係性を深めていくか、そのプロセスを理解し、重症児者に対する音楽療法の可能性と留意すべきことについて考えたい。 (本稿は、平成30 年12 月9 日京都大学で開催された、第12 回日本音楽医療研究会 特別講演に基づきました。)

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© 2019 日本音楽医療研究会
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