音楽医療研究
Online ISSN : 1883-2547
ISSN-L : 1883-2547
症例報告
頭部外傷後最小意識状態患者において意識と上肢機能の改善を支援した音楽療法について
奥村 由香森 志保森 美香石川 明奈槇林 優浅野 好孝篠田 淳
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 8 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

重症の外傷性脳損傷による最小意識状態患者に対し、残存脳機能を刺激する音楽療法(1 回40 分、週2 ~3 回)を 従来のリハビリテーションに併用して実施した。4 カ月後、左手のわずかな動きで打楽器の音出し動作が可能となり、Yes/No 反応での選曲や、楽器が鳴らされた順序を眼球運動で示すことが可能となり、意思表出に関わる反応の再現性と迅速性が向上した。8 カ月後、左手と腕の動きでキーボードの音階を昇降する音出し動作が可能となり、それと同じ上肢動作で意思表出が可能となった。音楽療法は、最小意識状態患者の意識の改善と、意思表出を補助する上肢機能の改善において補助的成果があったと考えられる。

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© 2015 日本音楽医療研究会
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