抄録
ウシ卵丘卵母細胞複合体の二段階凍結において,体外成熟段階が融解後の卵母細胞の受精とその様式に及ぼす影響を調べた.0,6,12,及び24時間のいずれかの時間,成熟培養した卵母細胞を10%エチレングリコールと0.1 Mシュクロースの両方を含む媒液において凍結融解した.凍結前後の合計の体外成熟時間が24時間になるようそれぞれの群の卵母細胞を追加培養し,凍結融解ウシ精子を用いて体外受精した.受精率は培養0,6,12,24時間の凍結群でそれぞれ40,47,49,54%と対照群(77%)よりも有意に低かった.培養24時間目の凍結群では多精子受精が多く観察された(53% vs. 対照群18%).媒精時の精子濃度はこの多精子受精の高発生とは関係しなかった.