抄録
雄生殖細胞研究は,組織学的な解析のみに頼る時代から,その集積された形態学的観察の基盤の上に新たな方法論が加わったことで,急速な進歩を遂げている.特に,精原細胞の培養と精細管移植が可能となったことにより,精巣の幹細胞研究が進み,さらには,培養精原細胞から再生医療に不可欠なES様細胞が樹立されたことから,生殖分野の研究者以外からも近年注目を浴びるようになった.このことは,雄生殖細胞研究がその応用面で,不妊治療分野において男性不妊の原因や治療法開発のために重要であることは言うまでもなく,今後再生医療の分野においても,大きな役割を果たすことが予想される.本総説では,雄生殖細胞研究のなかでも,初めて in vitroで培養可能となった精原細胞に特に焦点をあて,ここ10年間の急速な進歩の足跡を解説する.