哺乳動物卵子学会誌
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ブタ体外成熟卵の膨化卵丘の形態計測学的評価-計測方法の比較
Ferdinand P. DAEN佐藤 英明内藤 邦彦豊田 裕
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1994 年 11 巻 2 号 p. 203-209

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抄録

卵丘膨化の程度を表現する方法として, 画像解析装置による方法と, 卵子卵丘複合体の長径と短径を計測し, 公式 (長径×短径×π÷4) により算出する方法がある. 私達は, ブタ卵胞液に卵丘膨化促進作用のあることを認めているが, 卵丘膨化促進因子を分離するにあたって卵丘膨化の程度を正確に, さらに簡便に計測するためにどちらの方法が適しているかを明らかにしておく必要がある. 私達は培養24時間後に卵子卵丘複合体集団を写真にとり, 写真版を用いて画像解析装置と公式により卵子卵丘複合体の占める面積を計測し, それぞれの方法の利点と欠点を評価した. どちらの方法を使っても, 部分的に精製したブタ卵胞液の活性分画は他の分画よりも強い活性を示したことから, 計測方法によって最大活性を示す分画が異なることはないと考えられた. 画像解析装置では, 複雑な形を示す卵丘の占める面積を敏速に計測できたが, 膨化の程度の著しいものについては計測がむずかしかった. また, 遊離した卵丘細胞を除外して卵子卵丘複合体だけを計測することもむずかしく, 写真版を用いて画像解析装置にかける場合には鮮明に撮影・現像されたものしか使えないことがわかった. 公式により算出する方法は, 膨化の程度の著しいものも簡便に計測でき, また, 写真の質に影響されずに測定できるなど画像解析装置よりも優れた点があった.

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