2025 年 25 巻 2 号 p. 75-86
理学療法分野では,介入手法や評価指標の多様性に加え,研究デザインの異質性により,研究間の比較や知見の統合が困難となる場面が少なくない。このような状況では,研究領域全体の構造を把握し,臨床で生じる問いを体系的に整理するために,エビデンスを俯瞰的に捉える視点が求められる。本稿では,その実践的手法として注目されるスコーピングレビュー(Scoping review:ScR)の研究デザインを概説する。まず,ScRの目的と特性,システマティックレビューとの相違点,およびPCC(Population,Concept,Context)を用いた研究疑問の構造化を述べる。続いて,プロトコル作成から文献検索,スクリーニング,データ抽出・チャート化,結果の要約に至る実施プロセスを,筆者の経験を踏まえて紹介する。さらに,ScRの意義と今後の展望,および遂行におけるメンターの役割にも触れる。本稿がScRの理解を深め,取り組みの第一歩を後押しする一助となれば幸いである。