MACRO REVIEW
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21世紀初頭のCO2排出量問題
新田 義孝
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2001 年 14 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

政策研究院の人口予測結果によると、わが国の人口は2001年に1.26億人で最大となる。この予測を用いてわが国の二酸化炭素排出量を推定し、年率1%の省エネルギーを実行すれば、国内での二酸化炭素排出量削減で不足する分を海外のアルカリ劣化土壌や酸性劣化土壌を改良して植林することにより、京都議定書で定めた2010年の排出量削減目標値は達成できることを示した。また、政策研究院の予測では、世界人口は2030年に73.6億人で最大となる。この予測を用いると、世界の二酸化炭素排出量は、先進国が年率1%で削減し、途上国は20世紀中にそうであったように一人当たりの排出量を年率1.3%程度で増やしていっても2050年ころまでは約80億トンで安定する。これは、IPCCのS550シナリオにほぼ合致し、それ以降途上国も排出量削減に参加すれば、2050年以降排出量が減少するという同シナリオを、21世紀中なら遂行できる可能性があることを示した。

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