2004 年 17 巻 1 号 p. 15-20
人間社会の持続的存続のためには基本食糧の自給は不可欠である。本論では米と大豆を栄養素的観点において基本食糧とみなし、その自給論を試みる。基本食糧の自給体制には脱化学農法、遺伝子組換え種子の不採用、「国民皆農」的方式、「地産地消」、市民農園・貸借農地、都市住民と農村住民との共生、「半農・半業」の各々の方式が指摘できる。本試論ではこれらの方式の主要な効能に言及する。わが国の地勢的状況はアジアでの基本的食糧自給体制と不可分である。 上記の方式の検証、それを国の施策として位置づけているアジアの二つの国一ラオス、ブータン-との比較検討、国際的食糧備蓄の構想が本自給論研究の今後の課題となる。