MACRO REVIEW
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アジア発展途上国の電力規制機関が電力セクター改革において果たすべき役割
南米の主要国をベンチマークとして
長山 浩章
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2005 年 17 巻 2 号 p. 11-20

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抄録

アジア発展途上国では電力セクターの民営化・自由化が進行中である。垂直統合されていた公益電力事業体が、発、送、配電、小売にアンバンドリングされた場合、「機能分離」、「ステイクホルダーの増加」によって、アンバンドリング以前の電気料金等の規制はそのまま残る。これに加え各所で必要な手続きは増加し、規制機関の役割・業務は大幅に増加することになる、しかしながらアジア発展途上国ではセクター改革のフレーム枠づくりだけが先行し独立規制機関の設立や、予算措置、それに係る適切な人的能力の開発が進んでいないのが現状である。アジア発展途上国における規制機関においては、欧米電力セクター改革において重視されている市場効率性の追求、市場支配力緩和策に資する業務だけでなく「民間資本導入による安定的な電力供給」、「電力価格の安定(低下ではない)」、「地方電化推進を含む貧困撲滅、電化率向上」の3点に対する業務も十分に考慮されるべきである。このためには、経済発展の程度と自由化のモデルに従って、最適な予算と人、紬織構造が規定されるべきである。

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