MACRO REVIEW
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ポスト石油燃料時代の運輸
角田 晋也玉山 昌顕北見 辰男
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2006 年 19 巻 1 号 p. 27-36

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抄録
化石燃料を燃焼して大気中に廃棄する量を半減しても大気中のCO2濃度の上昇を半減するだけであって、地球温暖化防止の観点からは延命措置にしかならない。世界のCO2排出の2割は運輸に伴うものである。運輸エネルギーは石油に依存すると同時に石油利用諸用途のうち運輸の占める割合が大きいので、石油供給が半減すると、自動車や船舶から鉄道へ輸送振替が進む。自動車や船舶の代替液体燃料としては、バイオエタノール、バイオディーゼル燃料、およびDMEがある。バイオマス燃料を利用しても大気中のCO2濃度は増減しないと看做される。エネルギー源が多様化して、エネルギー源産出地が分散すると、エネルギーよりも運輸、特に鉄道や大陸間・島嶼間海上短距離定期航路が安全保障上重要になる。これら運輸の要衝を制する者は沿線の覇権をも掌握する。輸送距離が短くなるため、資源供給の制約から各鉄道沿線内でのリサイクル・リユースが促進されるとともに、立地条件が重要になる。人口も沿線に集中する。外国に低賃金労働すなわち低付加価値工程をアウトソーシングできなくなるので,国内所得格差が増大する。
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© 日本マクロエンジニアリング学会
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