抄録
宇宙線と大気との反応によって生じたベリリウム-7(Be7)の大気および降水中の濃度のいままでの全測定結果について,それをトレーサーとして気象の研究特に大気循環の研究に利用するため,概観したところ,次のことが見いだされた。
(1)地上の大気中と同様に降水中のBe7の濃度にも春季最大の季節変化が存在する,(2)成層圏下層ではBe7濃度は冬に最大をもつ季節変化を示す,(3)Be7の地上への落下蓄積率は中緯度に山をもつ傾向がある。
またBe7の対流圏および成層圏下層での平均滞留時間は,それぞれ約40日および数か月と算出された。
以上のことは大気中の入工放射能の分布と輸送に見いだされたこととよく一致している。