気象集誌. 第2輯
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平面Couette流中の熱対流の3次元的性状
浅井 富雄
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1970 年 48 巻 1 号 p. 18-29

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抄録

Boussinesq近似にもとづく摂動方程式を差分近似法により数値的に解いて,不安定成層の平面Couette流中で発現する熱対流の性状を調べた.まつ゜流れの安定性を擾乱の水平波長,Richardson数等について示す.一様なシヤーをもつ流れは一般に擾乱の発達を抑制する効果をもち,その効果は波長の短いほど,又流れに直角な方向の波長が平行な方向の波長に比して長い-transverseモード-ほど著しい。一方流れに平行な方向の波長が直角な方向の波長に比して長く-longitudinalモード-なるにつれシヤー流の抑制作用は減じ,,流れに完全に平行なroll状の対流はシヤーの抑制作用を全く受けず増幅率の最も大きい所謂preferredモードとなる.Rayleigh数が大きくなると,基本流の平均速度で伝播する不安定波の他に波長のより短い前者と違った伝播速度をもつ不安定波が現れるが,その増幅率は前者に比して小さい.これらは異る解法により得られたKuo(1963)その他の結論と一致する.以上の予備的調査にもとついて,平均流で移動する波長の長い不安定波(熱対流にとって主要なモード)の構造やそれに伴うエネルギー変換について考察する.対流による熱の鉛直輸送に伴う位置エネルギーから運動エネルギーへの転換の他に,水平運動量の鉛直輸送に伴い基本流と擾乱の間に運動エネルギーの変換が生ずる.特に運動量の鉛直輸送は擾乱の3次元構造に強く依存する.擾乱がtransverseモードの場合,水平運動量は基本流のシヤーに抗して輸送-counter gradient transfer-され,従って擾乱の運動エネルギーから基本流のそれに転換される.この極端な場合が基本流に平行な鉛直面内の2次元対流で,著者(1964)の数値実験はこの結果を裏づけている.他方3次元運動を伴うlongitudinalモードの擾乱はtransverseモードのそれとは逆に運動量を輸送する.即ち基本流から擾乱へ運動エルギーを転換する.そしてシヤー流中ではこのlongitudinalの3次元対流がpreferredモードである.

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