気象集誌. 第2輯
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北半球の地•水圏と気圏におけるエネルギー源の季節変化
久保田 効
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1970 年 48 巻 1 号 p. 30-46

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抄録
気候的な熱•冷源つまり総エネルギーの局所時間変化+発散量が地•水圏と気圏それぞれのエネルギー•バランス方程式の残留項として計算される.それらの毎月の北半球分布が与えられ,季節変化が論じ,られる.水圏における熱冷源分布では,北西太平洋と太西洋に,冬極度に強い冷源が夏非常に強い熱源が現われる.熱帯の海洋には年間定常な熱源が現われ,海洋によるエネルギーの北向き輸送を示唆している.地圏の熱•冷源分布は,内部エネルギーと雪氷の融解熱の局所時間変化を意味するが,水圏の熱冷源の季節変化に比べると,その変化は小さい.しかし,高緯度では冬冷源•夏熱源を示しているのが判り,夏の熱源は雪氷の融解熱に起因すること大であることが示唆される.気圏の冷熱源分布では,北太平洋と北太西洋上で冬強い熱源,夏冷源,熱帯では年中強い熱源を示している.気圏の冷•熱源の形成には,凝結熱が重要な役割りを果すことが示される.
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© 社団法人 日本気象学会
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