気象集誌. 第2輯
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北半球下部成層圏の準2年周期振動
James R. HoltonHsiu-Chi Tan
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1982 年 60 巻 1 号 p. 140-148

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抄録

1962年~1977年の16年間にわたる冬(11月~3月)について,北半球域の10,30,50,100および300mb面の高度分布,温度分布を準2年周期振動(QBO)の位相によって分け,合成図を作った。合成した等圧面高度,温度はともに軸対称な形で極域と中緯度との間でシーソーのような変化をしている。すなわちQBOによる赤道域50mbの風が西風(東風)の期間には極域の高度,温度の偏差は負(正)で中緯度のそれは正(負)になる。
10~300mbの範囲で平均東西風の緯度-高度断面図を作ってみると,赤道域50mbでのQBOの位相が西風のときには成層圏の極夜ジェットは平均より強く,対流圏のジェットは平均より僅かに弱い。QBOの位相が東風のときは逆になる。
同様の合成図を波数1と2のプラネタリー波の振幅と位相,およびEliassen-Palmの流束について作ってみると,成層圏のプラネタリー波も多少の準2年周期振動を行っていることがわかるが,その程度は極夜ジェットの変動に比べて驚くほど小さい。

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