抄録
2次元モデルを使って,赤道中層大気における東西風の半年周期振動について考察した。モデルにくみ入れた成層圏界面における半年振動のメカニズムは(i)夏半球の東風の子午面流による非線型移流,および(ii)赤道ケルビン波の西風運動量の鉛直輸送である。
次の2つのモデルを考察した。
(1)中間圏にレーリー摩擦を導入したモデル。
(2)中間圏界面における半年振動をシミュレートするために,レーリー摩擦のかわりに重力波の加速を導入したモデル。
2つのモデルとも,赤道成層圏界面に半年振動を得たけれども,(1)のモデルでは春•秋分の西風は上方伝播である。(2)のモデルでは,成層圏界面だけでなく中間圏界面にも7m/s程度の半年振動を得た。
しかしながら,赤道30~40kmの高さには一定の西風が吹いており,又緯度1°での半年振動の振幅は小さい。より現実的な半年振動をシミュレートするためにはプラネタリー波の東風加速が必要であることを,この結果は示唆している。