気象集誌. 第2輯
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1979年5~6月の世界の降水分布における急変とその同時性
篠田 雅人三上 岳彦岩崎 一孝北島 晴美江口 卓松本 淳増田 耕一
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1986 年 64 巻 4 号 p. 531-546

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抄録

FGGElevel II-c precipitation and snow data set を用いて,1979年5~6月の世界の降水分布における急変とその同時性について検討した。その結果,5•6月それぞれ上旬前後の2段階で,10日間降水量の急変が認められた。
5月中旬には,多降水域がインドネシアからフィリピンとベンガル湾周辺へ北上している。このとき,ユーラシア中•西部と北米西部の中緯度地域で無降水域が北へ拡大し,東アフリカ赤道地域で降水が増加する。1旬前(5月上旬)には,西アフリカ赤道地域で降水が増加し,南米西岸で無降水域が北上する。
6月上旬には,ユーラシア東岸の20°~60°Nで降水が増加している。このとき,主降水域が,南米東部からカリブ海周辺へ,西アフリカの赤道から15°Nへと北上している。1旬後(6月中旬)には,インド西岸で雨季が始まる。同時に,東アフリカ赤道地域では降水が減少するが,マダガスカル•南アフリカ東岸では降水が増加する。
2段階の急変時期に基づいて,70°~90°Eと20°~35°Nを境に4つのセクター〔I(北東)セクター,II(北西)セクター, III(南西)セクター, IV(南東)セクター〕に区分できる。
Iセクター(ユーラシア東部)では,6月上旬に急変が起っている。
IIセクター(ユーラシア中•西部と北米西部の中緯度地域)では,5月中旬に急変が起っている。
IVセクター(インドネシア,フノリピン,ベンガル湾周辺)では,5月中旬に急変が起っている。
IIIセクターでは,5•6月上旬前後に急変が起っている。詳しくみると, IIIセクター西部(大西洋周辺)では5•6月上旬に,IIIセクター東部(西インド洋)では5•6月中旬に,急変が起っている。

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