1986 年 64 巻 6 号 p. 841-855
本論文の目的は冬期北西季節風下において,朝鮮半島東岸沖の日本海西部上に現れる収束雲帯の形成機構を調べることである。
いくつかの異なった地表の条件の下での数値実験によって,朝鮮半島と日本海の海陸の熱的な性質の対照が,この収束雲帯の形成に対して本質的な役割を果たしていることが示される。すなわち,冷たい陸地の上では気団変質がより弱く,その結果,対流圏下層で朝鮮半島南東端に中心を持つ中規模の高圧部が,そしてその東端に収束帯が形成される。この収束帯が積雲対流を活発化させ,帯状に組織化する。また,朝鮮半島北方の山地によるブロッキングの効果がこの収束帯を強めるように働く。