1992 年 70 巻 1B 号 p. 243-256
1978年から1989年までの12年間にわたる観測資料を用いて、東アジアにおけるモンスーンの年年変動と季節内変動に対する熱帯西太平洋の影響について調べた。解析した結果から、熱帯西太平洋の暖水域(Warm pool)が東アジアモンスーンの年年変動と季節内変動に大きな影響を及ぼすことがわかった。フィリピンの周辺における対流活動の強い夏には、東アジアモンスーン降水が一般的に平年より少なく、モンスーン循環の六月の突然の変動が顕著である。
暖水域の上空における対流活動が東アジアにおける夏期モンスーンに影響を及ぼすこと、およびこの対流活動による東アジア/太平洋パターンの大気大循環のテレコネクションについて、プラネタリー波の伝播理論とIAP大気大循環モデルによる数値実験結果により議論した。