1998 年 76 巻 6 号 p. 1065-1069
垂直風洞に浮遊した半径1.7mmより大きい水滴の熱的緩和時間を測定した。測定は室温約20℃で、0℃に冷やした水滴の温度上昇と約40℃の水滴の温度下降の二通りで行った。温度上昇及び温度下降曲線は、ほぼ指数関数的に変化し、周囲の空気の湿球温度に落ち着いた。半径1.7mmの水滴での熱的緩和時間は両者の方法でほぼ等しかったが、水滴が大きくなると後者の方法での緩和時間が前者の方法でのそれより、小さかった。即ち暖かい水滴の方が冷たい水滴より速く湿球温度に近付くことがわかった。暖かい水滴と冷たい水滴の緩和時間は両者とも半径に比例して大きくなり、次の式で表された。τwarm=2.37a-0.20、τcool=3.82a-2.76(ここでaは水滴の相当半径でmmでとる)。