2017 年 36 巻 2 号 p. 179-196
本研究は,復興計画において復興の目標として示される復興スローガンが,何を表そうとしてきたのかを,東日本大震災における自治体の復興計画を事例として明らかにしようとするものである。復興スローガンとは,復興のコンセプトと目的を端的に示した標語のことを指す。 災害の発生後,自治体は復興計画を策定することがあるが,このとき一部の計画では,その目標を復興スローガンという形で提示することがある。本研究では,復興計画もしくは復興ビジョンを策定した81自治体の復興スローガンを収集し,計量テキスト分析を行った。その結果,東日本大震災における自治体の復興スローガンは,主として7 つの目標,「安全・安心なまちづくり」「災害に強いまちづくり」「市民生活の再建」「地域経済・産業の再生」「創造的復興」「包摂型社会の実現」「世界最先端の津波防災モデル構築」を示していることが明らかとなった。