抄録
大規模災害において,町内会などの自主防災組織の役割の重要性が指摘されている。本研究は,町内会など自主防災組織の構成員が,身近な地域の自然環境をどのように認識し,想定されている災害へ備えているのかについて明らかにすることが目的である。神奈川県横須賀市内の64町内会役員を対象に,調査票を用いたヒアリングを行った。ヒアリング項目は,想定されている災害についての認識,避難訓練等の実施,災害に関する課題などである。そして,実際に想定されている災害との比較を行った。また,町内会等で実施された防災訓練等の観察を行った。さらに,対象地域の町内会役員らとともに津波を想定した避難訓練を企画し,住民の参加を得て訓練の実施とふり返りを行った。ヒアリングの結果,実際に想定されている災害に対し,「被害が少ない・ない」と認識していた町内会が半数程度あった。その理由として,自己の体験や伝聞,過去に被害がなかったことや対策防災工事が行われたことなどがあり,防災訓練等の課題も認められた。そこで,実践的な津波避難訓練を企画・実施した結果,参加者は自分たちでそれぞれ判断して行動し,地域の課題に気づいた。