2009 年 3 巻 3 号 p. 159-164
【目的】後拡張を省いた頚動脈ステント留置術(CAS)における狭窄率改善効果を検討した.【方法】 CAS後にfollowup脳血管造影検査(平均13.7ヵ月,0.5~24ヵ月)が可能であった10例11病変を対象に,術前,術直後およびfollowup時の残存狭窄率を検討した.また,プラーク内石灰化の有無による狭窄改善率の違いについて検討した.【結果】術前狭窄率は87.3±11.0%(mean±SD),術直後の狭窄率は30.1±5.7%(mean±SD)であった.Followup脳血管造影時の平均残存狭窄率は12.3±16.1%(mean±SD)と改善した(P<0.003).石灰化を含む病変の残存狭窄率は術直後29.0±5.2%からfollowup時24.3±9.5%への改善に留まったのに対し,非石灰化病変では28.2±6.1%から7.1±9.9%へと著明に改善した.【結語】後拡張を省いたCASでも,特に非石灰化病変において経時的な狭窄率改善が期待できる.