2014 年 8 巻 5 号 p. 266-272
要旨: 【目的】脳室内出血で発症し,もやもや病に伴う脳室上衣下動脈(subependimal arteries; SEAs)の脳動脈瘤破裂と診断,n-butyl cyanoacrylate(NBCA)による塞栓術を行った症例を報告する.【症例】26 歳女性,突然の嘔気とめまいで発症,脳室内出血と診断された.CTA で右中大脳動脈起始部と右前大脳動脈起始部の描出が不明瞭で,右前脈絡叢動脈遠位部にSEA が確認でき,右側脳室内へ突出する約5 mm の動脈瘤が存在した.脳血管撮影検査より,もやもや病に伴うSEA の脳動脈瘤破裂と診断した.前脈絡叢動脈からSEA へマイクロカテーテルを超選択的に誘導し,25% NBCA で親血管塞栓した.術後の頭部MRI/MRA 検査で急性虚血性変化は認めず,神経脱落症状なく退院した.【結論】脳血管内手術はもやもや病に伴う脳動脈瘤の治療に有用であった.もやもや様血管網を有する疾患の病態を考察する貴重な症例であった.