話し言葉の係り受け解析を行なう際の最大の問題は,文境界や引用節・挿入節などの境界が明示されていないことである.本論文では,話し言葉に対して,引用節・挿入節を自動認定するための手法,および自動認定した引用節・挿入節の情報を用いて係り受け解析を改善するための手法を提案する.形態素やポーズの情報などをもとに,SVM を用いたテキストチャンキングによって,引用節・挿入節の始端と終端を決定する.始端を決定する際には,自動推定した係り受けの情報をあわせて利用する.日本語話し言葉コーパス (CSJ) を用いた評価実験により,自動認定した引用節・挿入節の情報を利用することで係り受け解析精度が 77.7% から 78.7% に改善されることを確認し,本手法の有効性を示した.