2009 年 16 巻 4 号 p. 4_91-4_106
近年の科学技術の進展にともない,工学知は幾何級数的に増大したが,その一方で,工学教育の現場においては,学生が自分の興味に合わせて講義・演習を選ぶことが非常に困難な状況になっている.また,教員も同様に,講義全体の効率化のために,講義内容の重複や講義の抜けを知る必要があり,総じて,各講義間の関連性を明確にし,カリキュラムの全体像を明らかにすることが求められている.しかし,講義間の関連から全体の構造を明らかにするためには,通常,人手によりあらかじめ講義内容(シラバス)を分析・分類する必要があり,これは大きな人的コストと時間を必要とする.したがって,この作業を可能な限り自動化し,効率的な手法を開発することが非常に重要な課題となる.本稿では,こうした問題に対して,我々のグループで取り組んでいる課題志向別シラバス分類システムについて,評価実験を交えて解説する.また,東京大学工学部の 850 以上のシラバスを使った評価実験によって,本システムが実用的な課題志向別シラバス分類の自動化に有効であることを示す.