自然言語処理
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ペアワイズアライメントを用いた動詞の多義性解消
山下 浩一吉田 敬一伊東 幸宏
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2004 年 11 巻 4 号 p. 67-88

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抄録

本論文は動詞の多義性解消に対して新しい手法を提案するものである.単語の多義性の問題は古くから自然言語処理における最も重要な問題の一つとして位置付けられており, これまでに様々な多義性解消の試みが報告されている.従来の試みは多義語の文脈の扱いの観点から, 多義語の周辺の単語を非順序集合として用いるもの (連想関係に基づく手法) と, 構文関係を用いるもの (選択制限に基づく手法) の2つに大別できる.しかし, これらの手法はそれぞれ異った観点で手がかりを求めており, 精度の向上には限界が考えられる.本論文で筆者らが提案する手法は, 多義語の文脈として一文の依存構造木全体を用いており, 2つの手法の特長を併せ持つものである.筆者らの手法では, DNA配列の類似性評価に広く用いられているペアワイズアライメントの技法に基づいて文脈の類似性を評価する.これによって, 文脈問の類似度を柔軟かつ頑健に求めることが可能である.本手法は人手による教師付き学習を必要とするが, 多義性解消の実験からは平均81.1%の精度が得られた.

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