自然言語処理
Online ISSN : 2185-8314
Print ISSN : 1340-7619
ISSN-L : 1340-7619
複数決定木を用いた入力誤りに頑健な省略補完手法
山本 和英隅田 英一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 7 巻 4 号 p. 181-204

詳細
抄録

日本語は主語などの要素がしばしば省略されるため, これらの補完は対話処理において重要である. さらに音声対話処理においては, 実際に対話を処理する際に入力となるのは音声であり, 一部誤りを含んだ音声認識結果が処理対象となるため, 言語処理部においても不正確な入力に対する頑健性が要求される. このため, 入力の一部に誤りのある状況下における格要素補完問題を考え, 以前に提案した決定木を使用した補完手法を改良したモデルを提案する. このモデルは, 複数の決定木を使用することで複数解候補を出力し, その中から学習時の終端節点事例数によって解の選好を行なうことで入力誤りに対する頑健性を強化した. 音声認識の実誤りと人工的な誤りの2種類で評価実験を行なった結果, 提案手法が誤りを含む入力に対し頑健であることを確認した. また人工的な問題に対するシミュレーションの結果, 本提案手法は問題非依存であり, 入力誤りの多さに応じた決定木の組み合わせでモデルを構成することで有効に機能することが明らかとなった.

著者関連情報
© 言語処理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top