ヒトや実験動物の行動・運動を研究する研究者にとって,モーションキャプチャーは最も基本的な計測ツールである.しかしながら,従来の光学式モーションキャプチャーには,マーカーの貼付やキャリブレーションの手間など,自動計測を行う上での難点があった.Microsoft社が2010年に家庭用ゲームデバイスとして発売したKinectは,その価格の安さと簡便さで,運動計測分野に革命をもたらした.本稿では,Kinectセンサーからの深度情報と画像処理を組み合わせて実験動物の行動推定を行った事例と,リハビリテーション分野を中心に骨格情報を用いた事例を,過去の文献からレビューするとともに,著者らが行ったこどもの静止立位動揺測定の事例を紹介する.