日本口腔保健学雑誌
Online ISSN : 2434-7116
Print ISSN : 2434-7108
調査研究
歯科衛生士学生の歯科に対する意識調査
板花 明香里筒井 紀子佐野 公人
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2019 年 9 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

 患者の歯科に対する不安要因は,音や過去の治療経験などであるといわれている.歯科衛生士が患者の不安を予防・軽減できる環境づくりに応用するための基礎的データを集めることを目的とし,歯科のイメージと歯科に対する不安要因との関連性を分析した.

 対象者は,日本歯科大学新潟短期大学1年生58名と,3年生56名の計114名とし,調査票を用いた自記無記名式のアンケートを実施した.また,1年生と3年生における歯科のイメージや不安要因の違いを分析するため,χ2独立性の検定を用いて分析した.

 歯科医院の環境における不安要因として「音」,「におい」,「診療室」などが挙がっていた.「音」に不安を持つ者は,歯科治療時の切削音などの音の刺激から「痛い」,「怖い」などのネガティブなイメージにつながっているのではないかと考えられた.「におい」に関しては,薬品のにおいに不安を感じる者がいたことから,芳香療法を活用することで歯科に対するイメージの変化や患者の不安軽減につながっていくのではないかと考えられた.「診療室」については,治療時に使用する器具を見ることで不安になる者と見えないことで不安になる者がいたため,初診時に患者の不安要因に関する情報収集を行うことで,患者に合わせた対応が可能になると考えられた.

 歯科のイメージ低下につながる要因として,歯科医院の環境が関連していることが示唆された.医療者は患者を第一に考え,歯科環境に十分配慮することが必要であると思われた.

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© 2019 日本歯科大学東京短期大学
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