2018 年 5 巻 2 号 p. 136-141
近年, 在宅介護の負担軽減や患者の睡眠を妨げずに褥瘡好発部位の有効な除圧ができることから, スモールチェンジ(以下, SC)という体位変換方法が注目されている. これまで, SCを寝たきり高齢者に実施した場合の体圧変化は明らかにされていない. 本研究の目的は, 寝たきり高齢者においてSCシステム搭載型エアマットレス(以下, SCマット)を用いてSCを実施した際の体圧と接触面積の変化から, 寝たきり高齢者におけるSCマット使用の安全性および適用可能性を検討することである. 使用したSCマットは, 右上半身と左下半身, 左上半身と右下半身の2種の組合せでSCされる設計であった. SC実施前後に体圧分布, 各対象者における最高体圧部位の局所体圧値を測定した結果, 対象者4名中2名において最高体圧部位の体圧値が減少し, SCにより接触面積増加がみられたことから有効なSCが実施されていたことが示唆された. SCにより接触面積の増加がみられなかった対象者の特徴から, 円背・上下肢に拘縮のある者はSC用セルの動作が身体に適切に伝わらず, 除圧効果が得られない可能性が考えられた.