看護理工学会誌
Online ISSN : 2432-6283
Print ISSN : 2188-4323
ISSN-L : 2188-4323
原著
24 時間体制でハイリスクの母体救命救急に対応している産科単独の病棟における夜勤帯助産師の滞在場所と滞在時間の分析
西川 美樹齋藤 いずみ大滝 千文大澤 佳代和泉 慎太郎
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2021 年 9 巻 p. 21-33

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抄録
 日本では,分娩の約8割がほかの診療科が混合する病棟で行われており,分娩と他科死亡患者の看護が重複するといった実態が明らかにされてきた.また,産科単独病棟でもその68.2%がハイリスク化しており出産環境の安全性の低下が危惧されている.よって本研究は24 時間体制でハイリスクの母体救命救急に対応している産科単独病棟の看護の実態を可視化することで周産期医療体制の在り方を検討することを目標とした.ビーコンとスマートフォンを活用し,助産師の滞在場所と滞在時間を明らかにした.通常業務以外の突発的な事象が生じると母児の救命に向けて分娩エリアに半数以上の助産師が配置されていたが,「病室」「新生児室」の滞在時間を減らさずにクライアントに必要なケアを提供していた.そこにはチームメンバー間の協働による成果と,調査施設が周産期のケアに専念できる産科単独病棟であったことが関与していたと考えられる.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
  研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 24時間体制で母体救命救急に対応している施設の看護の実態を明らかにすることをテーマとしている.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 現在,助産師の人員配置は法的にも明文化されていない.本研究の成果はその基礎データとして貢献できればと考えている.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 研究協力者の負担にならず,かつ患者のプライバシー確保の両側面が遵守される測定方法の検討が必要と考える.
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