原子力バックエンド研究
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研究論文
原位置トレーサー試験の逆解析による同定パラメータ値の不確実性評価
畑 明仁井尻 裕二細野 賢一澤田 淳
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2004 年 10 巻 1-2 号 p. 47-56

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抄録

 高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価においては, モデルやデータの不確実性を評価することが重要な課題の一つとなっている. とくに, 天然バリア中核種移行評価においては原位置の調査結果に基づきモデルやデータが設定されると考えられるが, 天然バリアは本来不均質であるにもかかわらず調査数量は限られ, 調査結果には多くの不確実性を伴う. したがって, 天然バリア評価において, 原位置調査結果から推定されるモデルやデータの不確実性を定量的に評価する手法を確立する必要がある.
 このような観点から, 著者らは, 原位置トレーサー試験結果から逆解析により同定されたパラメータ値が持つ不確実性の評価手法の検討を実施してきた. 本研究は, スイスのNAGRAによりGrimsel Test Site(GTS)において実施されたトレーサー試験結果に対して, 逆解析を実施し, パラメータ値を同定するとともに, そのパラメータが持つ不確実性を定量的に評価, 検討した結果を示すものである. 本検討では, パラメータ値の持つ不確実性を, 観測値と計算値の誤差に起因する不確実性と, トレーサーの移行経路数のモデル化の違いに起因する不確実性とに分類し, それぞれの定量化方法について検討を行った. その結果, パラメータ同定は精度よく行えること, 観測値と計算値の誤差に起因する不確実性は, モデルの設定条件に起因するパラメータの不確実性に比べてきわめて小さいこと, モデルの良否を選択する基準としての情報量基準の有用性を示した.

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© 2004 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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