原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
研究論文
岐阜県東濃地域の地下水から分離精製した溶存腐植物質の特性
長尾 誠也岩月 輝希濱 克宏
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 15 巻 2 号 p. 77-86

詳細
抄録

 地下環境における放射性核種の移行挙動に及ぼす腐植物質の影響を評価するためには, 地下水中の腐植物質の特性を把握する必要がある. 本研究では, 岐阜県東濃地域の堆積岩層 (地表から深さ約 160 m) の地下水 3,000 lおよび花崗岩層 (深さ約 180 m) の地下水 24,500 lからDEAE-セルロース樹脂を用いて分離精製した腐植物質の特性を調べた. 東濃地域の地下水フミン酸は窒素含量が約 8 %と比較的高く, 分子サイズ 10,000 Da以上の割合が 75 %, E4/E6比が 6.1~7.5 と腐植化が進行していることを示している. また, 堆積岩中の地下水フミン酸の方が花崗岩中の地下水フミン酸に比べて分子サイズ 100,000 Da以上の割合が 20 %ほど高く, より高分子の有機物で構成されていた. この結果は, 東濃地域においては, 堆積岩層から花崗岩層への地下水の移行の間に腐植物質の高分子画分が堆積岩に吸着し, 地下水腐植物質の違いとして反映された可能性が考えられる. 一方, 堆積岩および花崗岩中の地下水フルボ酸は, 主に分子サイズ 5,000 Da以下の有機物 (60 %~68 %) により構成され, 互いにほぼ同様な特徴を示した. これは, 両岩層地下水フルボ酸は同じ起源であり, 移行経路における吸着等の影響が小さいためだと考えられる.

著者関連情報
© 2009 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
前の記事 次の記事
feedback
Top