原子力バックエンド研究
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Print ISSN : 1884-7579
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総説
諸外国における使用済燃料直接処分のソースターム評価
- (1) 使用済燃料および構造材からの瞬時放出率の評価
長田 正信近沢 孝弘赤堀 邦晃北村 暁舘 幸男
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2016 年 23 巻 1 号 p. 31-54

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抄録

 わが国では,使用済燃料の全量を再処理し,そこで発生する高レベル放射性廃液のガラス固化体を深地層中へ埋設することとしている.一方で,将来のエネルギー情勢の変化に柔軟に対応するため,代替処分オプションのひとつとして使用済燃料を直接地層中に埋設処分する手法(以下,直接処分)についても技術的成立性を検討している.直接処分の安全性を評価するためには,処分後のある時期に閉じ込め機能が喪失した際に,使用済燃料から地下環境中へ放出される核種の種類や放出量等(総称してソースタームという)を設定する必要がある.とくに,閉じ込め機能喪失後に速やかに放出される成分の割合(以下,瞬時放出率(IRF))は,直接処分の安全評価に大きな影響を与える可能性がある.しかしながら,IRFを設定するための詳細な検討は国内では未実施である.このことを受け,わが国における直接処分の安全評価に資することを目的として,直接処分を計画している諸外国の安全評価報告書におけるIRFの評価事例を調査した.諸外国における安全評価の内容を比較した結果,引用する試験データは各国でほぼ同様であったが,最終的なソースターム設定は,各国の事情(炉型や想定燃焼度等)を加味した結果として各国間で違いがみられた.また,設定値が含む不確実性の表現も各国で異なり,推奨値に加え悲観的値を設けるケースや,中央値と標準偏差を与えるケース等の違いがみられた.本調査内容は,わが国における代替処分オプションのひとつとしての直接処分の安全評価のための基盤情報として有効である.

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© 2016 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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