日本臨床皮膚科医会雑誌
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特別講演1
21世紀, 人はアミロイドとどう戦うか
石橋 康正
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2007 年 24 巻 4 号 p. 292-297

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抄録

アミロイドは交差βと呼ばれる特殊な“conformational change”を示す蛋白で、正常人は殆ど生産しない。既存の約20種の蛋白から形成されるが、その機転は細胞内の質的制御において、正しくfoldingされない蛋白を処理する過程で発生する。問題は宿主がこの物質を容易に排除できないことや、特に近年増加の傾向にあるアルツハイマー病、パーキンソン病等の所謂神経変性性疾患において、その発症に当該物質の形成が深く関わっていることである。細胞内蛋白の質的制御とその分解処理機転には、分子シャペロン・システム (MCs) とユビキティン・プロテアソーム・パスウェイ (UPP(S)) が重要な働きをなす。現在、MCsを遺伝子導入したモデル動物を使った、アミロイド沈着の阻害実験等が行われている。原発性限局性皮膚アミロイド症は、表皮ケラチノサイトの細胞内外にアミロイド様物質、及びアミロイドが沈着する病態で、特にその家族発生型は遺伝性の存在と共に、その発症に上記神経変性性疾患と同列の機転が働いていると推測され、将来上記難病発症機転解明のモデルの一つになるのではあるまいか。(オンラインのみ掲載)

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© 2007 日本臨床皮膚科医会
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