日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
アトピー性皮膚炎の入院療法における Quality of Life推移の検討
福田 英嗣髙橋 美咲向井 秀樹
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2017 年 34 巻 4 号 p. 456-461

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抄録

 近年,患者の「Quality of Life(QOL)」評価の重要性が認識されつつある.アトピー性皮膚炎 (Atopic dermatitis:AD)患者では強い痒みや容姿差別などあり,これらによりQOLが低下している.今回われわれは,当科で入院加療を行ったAD患者におけるQOL評価を行った.入院時に施行したDermatology Life Quality Index(DLQI)によるQOL評価では全ての項目でスコアが高く,入院療法で退院時にはこれら全てが有意に低下した.また,日本皮膚科学会AD重症度分類及び痒みのVisual analogue scale値,血中病勢マーカーである血清thymus and activation-regulated chemokine(TARC)値,血清lactate dehydrogenaseは,入院前後で有意に低下した.また,DLQIスコアと血清TARC値の相関関係は,入院時全ての項目で正の相関があり,重症度の高いADほどQOLが障害されていることを意味していた.一方,退院時のDLQIスコアと血清TARC値は多くの項目で相関関係がなかったが,その理由として退院時には皮膚表面の症状が軽快しているためDLQIスコアは低下しQOLは向上しているが,血清TARC値が高値で推移している症例が含まれるためと推察した.  ADの多くはQOLが障害されているため,治療の際には皮膚症状のみの観察ではなくQOL評価も行い,さらに,血清TARCなどの病勢マーカーの推移も念頭に入れる必要があると思われた.

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