日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
透析療法中に発症した水疱性類天疱瘡の8例
高澤 摩耶梅本 尚可山田 朋子出光 俊郎大河原 晋川瀬 正昭
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2020 年 37 巻 5 号 p. 662-667

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抄録

 当科ではこれまで透析療法中に水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid以下BP)を発症した症例を8例経験している.8例全例が糖尿病性腎症のため血液透析を施行中で,全例dipeptidyl peptidase-4(以下DPP-4)阻害薬を内服していた.DPP-4阻害薬は1例のみ内服を継続した.8例中7例でステロイドを全身投与し,うち1例はさらに血漿交換も行った難治例であった.自験例8例は臨床経過や検査所見などから,通常のBP,DPP-4阻害薬によるBPと透析によるBPの3つが混在している可能性があり,過去の文献との比較から透析中に発症したBPに重症例が多い傾向があると考えた.DPP-4阻害薬によるBPは一般的に内服中止により改善し,ステロイド内服を必要としない例が多いが,透析でDPP-4阻害薬内服中の患者がBPを発症した場合には,上記3つが混在している可能性を考え,まずDPP-4阻害薬を中止し,改善がない場合は続いてステロイド内服を考慮する必要がある.

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