日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
尖圭コンジローマとの鑑別を要したクローン病の 肛囲皮垂の1例
影治 里穂飛田 泰斗史桑山 泰治
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2020 年 37 巻 5 号 p. 680-683

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抄録

23歳,男性.来院1年前より肛門周囲の腫瘤を自覚し,2か月前から増大傾向であった.前医より,尖圭コンジローマを疑われ当科に紹介された.肛門周囲に長径2.5cmと2cmの腫瘤があった.病理組織検査では真皮全層に炎症細胞が浸潤し類上皮肉芽腫が形成されていた.術後3週間後より発熱,腹痛,下血が出現した.下部消化管内視鏡検査の生検病理組織は肉芽腫であり,クローン病と診断した.消化器症状出現前に出現したクローン病の肛囲皮垂と診断した.クローン病は高率に肛門部病変を合併し,腹部症状に先行して皮膚病変が出現する症例も少なくない.肛門周囲の腫瘤を見た時には,クローン病の皮垂も鑑別に入れる必要がある.

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