日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
糖尿病神経障害者の歩行変化の検討
大関 直也
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 50 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

目的:本研究の目的は,糖尿病神経障害(Diabetic Neuropathy;DN)者の速度上昇にともなう歩行指標の変化を明確にすることである.

方法:DN 者と歩行指標に影響すると思われる背景因子である年齢,性別,BMI を調整した神経障害を有しない糖尿病(Diabetes Mellitus;DM)患者および非糖尿病(non DM)者を対象とした.歩行計測を快適歩行条件と最大努力歩行条件で実施し,歩行速度,歩幅,歩行率を検討した.

結果:研究に参加したDN 群21 名とDM 群10 名,non DM 群18 名の基本属性に有意差はなかった.最大努力歩行では,DN 群の速度は78.4 ± 20.5 m/min であり,歩幅は0.54 ± 0.12 mであり,ケイデンスは139.1 ± 17.3 steps/min であった.快適歩行では,DN 群の速度は55.6 ±14.4 m/min であり,歩幅は0.50 ± 0.10 m,ケイデンスは118.0 ± 21.8 steps/min であった.快適歩行の歩行率以外の指標すべてでDM 群およびnon DM 者の値よりも有意に低値であった.

結論:DN 者の快適および最大努力歩行での速度低下と歩幅減少,歩行率減少が明らかとなり,とくに歩幅の変化が少ない特徴が観察された.

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© 2020 日本臨床生理学会
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