日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
血管作動薬投与に対する心機能変化と血管機能変化との関係
―ウサギにおける実験的検討―
堀越 裕子勝田 新一郎挾間 章博
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 50 巻 3 号 p. 127-132

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抄録

 アンジオテンシンⅡ (Ang Ⅱ) およびニトロプルシッドナトリウム (NTP) 投与に対する循環動態変化と心機能変化との関連についてウサギを用いて実験的に検討した.Ang Ⅱ投与により収縮期血圧 (SBP),拡張期血圧 (DBP),平均血圧 (MAP),収縮期後方成分 (S2) (=脈圧;PP),総末梢血管抵抗 (TPR),augmentation pressure (Aug P) および augmentation index (AI) は有意に増加し,一回拍出量 (SV),大動脈コンプライアンス (SV/PP) および左室内径短縮率 (FS) は有意に低下した.心拍出量 (CO) および収縮期前方成分 (S1) には有意な変化はなかった.NTP 投与ではSBP,DBP,MAP,S2 (PP),TPR,Aug P およびAI は有意に低下した.S1 およびFS には有意な変化はなかった.SV/PP は増加傾向を,CO とSV は減少傾向を示した.FS はSBP,DBP,MAP,S2 (PP),TPR,Aug P およびAI に対して有意な負相関を,SV/PP には有意な正相関を示した.以上,FS の変化には血管トーヌス変化に伴う末梢動脈部位からの反射波成分の変化の関与が大きいといえる.

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