山口(1959)及びJacobs等(1960)は紫外部における水銀蒸気の吸収特性を利用して特殊な装置による超微量水銀の測定法を開発し,生物材料中の水銀の測定に応用して来たが,従来おこなわれて来たヂチゾンの比色法,放射化分析法にくらべ,その精度,感度の良好なこと及び操作の簡単なことから利用者の数も増加し応用範囲もひろがって来た。 この論文においては,従来おこなわれてきた方法を改良し,更に精度,感度をあげ,いかなる生物材料中の超微量水銀をも常に一定の条件で測定しうるようにしたものである。まづ生物材料を定温又は短時間の加熱で,強酸,過マンガン酸カリにて分解し,そのご塩酸ヒドロキシルアミンにて脱色振盪したのちヂチゾンを用いて水銀を抽出する。分離されたヂチゾンクロロホルム液を試験管内にて乾固しその中の水銀を強熱蒸気化する。この蒸気を紫外線ビームの中を通過させその時の吸収を自記増巾記録計にて記録し,その面積を測定する。水銀濃度の良好な測定範囲の選択は特別に作成した紫外線通過スリット巾調整カードにておこなった。 この方法による水銀の回収率,精度,感度,その他測定条件による検討をも併せおこなった。 この方法による良好な感度による測定可能範囲は総水銀量として0.007∼2.00マイクログラムである。