機械翻訳の歴史と現状の展望。翻訳の段階をまず,入力文の記号を対応する言語の記号に変換する翻字の段階,単語単位で変換する逐語訳の段階,構文分析を伴う構文翻訳の段階,句構造文法および変形文法を適用した句対句翻訳の段階に分けて概説し,さらに精度を高めるには対応する文間の意味的関連および言語外の情報の援用にまたねばならないことを説く。最近のテーマは,意味の明確な表現と柔軟な構文分析に向けられ,これは質問応答システムと密着した関係にあることを,MITのWinogradの研究によって示す。最後にわが国の現状にふれる。