著作物としてのデータベースが持つ権利と責任の問題を, 著作権法と関連させつつ, 最近の欧米における判例, 情報関係機関の活動, 関係者間の論争等の事例に照らして解説した。 関係する問題としては, (1)二次資料(二次データベース)作成における一次著作物との権利関係, (2)データベースの作成者と提供者の間のライセンス契約の内容, (3)ゲートウェイにおける著作権の保護, (4)データベースの品質等に対して作成者の負うべき責任がある。 結論として, 著作権法の精神である著作者の財産権と人格権の保護と, 情報の自由な流通の調和を図ることが肝要であり, このために, 法令や判例と個別の契約の間を埋める関係者の合意によるガイドラインの必要性を説いた。