リサーチグラント(研究補助金)は,科学技術の発展,ひいては国民生活や産業競争力の向上に向けた重要な資源である。このファンドを配分する役割を担う研究助成機関には,有効な研究助成を行うことのできるグラントシステムの構築が求められる。欧米のグラントシステムをベンチマークとすることにより,日本のグラントシステムの改善の方向性に対する示唆を得ることができる。ただし,その際には部分的な特徴ではなく,システム全体に組み込まれた思想を捉える必要がある。本稿では,このような視点から,今後の日本のグラントシステム構築に向けた提案を行う。