2002 年 45 巻 8 号 p. 544-552
バイオテクノロジーの分野では,ヒトゲノム解読が終了し,現在はタンパク質の構造と機能の解析にステージが移行し,ポストゲノムの時代となった。ゲノム・ポストゲノム研究の進展に伴い,知的財産の重要性が高まっているが,それとともに新たな問題が生じている。ゲノム・ポストゲノム研究では,遺伝子の配列やタンパク質の三次元構造座標データ等の情報が重要であるが,現在の特許制度では保護できない。また,ゲノム情報を用いた医薬品開発(ゲノム創薬)では分業化が進んでおり,これに伴いライセンスの問題もある。本稿では,ゲノム創薬と特許の関係を説明し,新たに生じている問題に言及する。