2003 年 46 巻 5 号 p. 284-291
本稿は,現行商標法の基本的課題として,不使用登録商標の累積の問題と商標の使用を巡る諸問題を取り上げたものである。わが国商標法は登録主義を採用している。優れた制度ではあるが不使用登録商標を誘発し,これが制度の運用にさまざまな問題点を投げかけていることを示して,その対策等について言及した。また,裁判例にあらわれた最近の商標の使用の局面や態様を取り上げ,そこでは,商標の出所表示機能をメルクマールとして事件が解決されていることを紹介し,今後もその方向を採るべき旨を述べた。