抄録
1990年代初頭に登場した電子ジャーナルは,それまでの冊子体の時代にはなかった購読契約上のさまざまな問題を生み出した。価格設定方式の多様さはそのひとつであり,出版社によるさまざまな試みの結果,1990年代末に価格体系は一応の基本形を確立したが,今なお新たな展開が跡を絶たない。その他,マルチサイト契約,購読中止後のアーカイバルアクセス,バックファイルへのアクセス,パッケージ購読,図書館コンソーシアム契約といった電子ジャーナルの購読契約に特有の重要なポイントについて,歴史的な変遷を盛り込みつつ概観する。